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[2004.04.23]
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ホイールのペンダント
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▼AOLがネットスケープの復興を計画中(CNET Japan)
http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000047715,20065580,00.htm
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「でも,すべてが失われたわけではない。灰のなかから,地を揺るがす一羽の鳥が,飛び立つ」。
quote:AOL社はほとんど見捨てられた状態にあるネットスケープ部門を復活させようと,人員を募集している。一時はウェブの成功の鍵を握る立場にあったネットスケープだが,いまはその栄光も色褪せてしまった。AOLはこの情報が確かなことを認めたが,詳細については口をつぐんだ。
わたしがシュウジ君からもらったものと云うと,その船を操縦する舵輪,ホイールをかたどったペンダントだけでした。それどころか,わたしはシュウジ君ときちんとしゃべったこともなくって,そのペンダントをもらうときにかけてもらった言葉以外,声をきくこともありませんでした。わたしは,ペンダントを落としたシュウジ君を走って追いかけて,上着の裾をつかんで,息を切らせながら,でもそうすることでドキドキしていることを隠しながら,そのペンダントを差し出しました。シュウジ君は,いままで顔を合わせたこともないわたしに微笑んで,ああ,それ,あげるよ,と言葉を残して去っていきました。ずっとずっと,憧れて,離れた場所からみていたわたしに。
わたしは,いまもそのペンダントを持って,この街に住んでいます。ほとんどの友だちが都会に出ていったけど,病気がちの母がいるわたしはここに残りました。シュウジ君もわたしの知らない町に行ったと聞きます。わたしはときどき,このペンダントを持って,海辺に立ち,そしてシュウジ君が好きだったという「モジラの書」(pic)という詩を詠んでみます。わたしには,詩の意味は全然意味不明だけど,その詩を詠んで目をつぶると,自由に海の上を歩いている自分がいることに気付きます。わたしは,ずっと,ずっと,海の上を歩いていって,そして,知らない地に行き,知らない風景をみて,どこでも自由に歩いていける自分を感じて,そして,声を聞きます。「海は,どこにでもつながっている。だから人は,海をみつめて,あした生きる気持ちを持てる」。わたしは,ぎゅっと,ペンダントを握りしめ,またあした,生きていこうと思うんです。
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